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2012年06月01日

法科大学院廃止に6割の弁護士が賛成

弁護士の富田です。今日から6月です。これから暑くなりそうですね。

ところで、報道によれば有志の弁護士でつくる任意団体「法曹人口問題全国会議」が、全国の弁護士を対象に、法科大学院についてのアンケートを実施したところ、約6割が法科大学院の「廃止」に賛成しているようです。

法科大学院とは、「日本版ロースクール」ともいわれます。いわゆる司法制度改革の一環として導入された制度です。この制度のもとでは司法試験を受験しようと思えば、原則として法科大学院を卒業しなければなりません。

この法科大学院制度は、旧来の司法試験があまりにも難しいために、受験生が大学に行かず司法試験予備校に行くことにより受験テクニックに走っているとの批判を受けて導入された制度です。
しかし、受験生が大学に行かず司法試験予備校に流れていたのは、法学部の授業が機能していなかったからであり、原因はひとえに大学の側にあります。また、司法試験が試験である以上、受験テクニックが必要であることは、いわば当然のことであり特段責められることではありません。
このようなことから法科大学院は導入に至った経緯からして合理性のないものだったといわざるを得ません。
現に法科大学院で質の高い教育が達成できているかというと、上述のアンケートでも7割の方が「達成していない」「あまり達成していない」と回答しています。

加えて、この制度の問題点として、司法試験の受験資格を得るまでに多額の費用と時間がかかるということです。私たちが合格した旧司法試験制度のもとでは大学の3回生や4回生在学中に司法試験に合格することも可能でした(私は合格できませんでしたが・・・。)。ところが、この制度のもとではどれほど優秀な方でも2年ないし3年間は法科大学院での勉強を余儀なくされてしまいます。この間の法科大学院の学費も決して軽視できない額になっています。

また、私たちが合格した旧司法試験制度のもとでは仕事を続けながら司法試験を受験するということが可能でした。現に合格まで仕事をしておられた方もたくさんおられます。ところが、法科大学院制度のもとでは、夜間大学院が極端に少ないこともあり、仕事を続けながら司法試験を受験するということは事実上不可能になっています。

このような理由から法科大学院への志願者減少に歯止めがかかっていません。
約6割の弁護士が法科大学院の廃止に賛成するというのも、もっともであると思います。
法科大学院卒業を司法試験の受験資格としないなどの制度改正が早急に必要であると思います。

投稿者 staff : 2012年06月01日 17:51

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