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2016年04月14日

一発勝負の弊害??

弁護士の富田です。

今日も法科大学院制度のことについて書こうと思います。

法科大学院制度の導入に際して、よく「一発勝負で合否を決めるのは良くない。法科大学院をつくって『プロセスによる法曹養成』を行うべきである。」ということが言われました。
しかし、従来の法曹養成制度は本当に「一発勝負」と呼べるものでしょうか??

まず、旧司法試験に合格するためには、毎年5月から10月にかけて約半年にわたって行われる3回の試験に合格しなければなりません。
まず5月に行われるのが短答式試験で、これは大学受験でいうところのセンター試験のようなものです。
短答式試験に合格した者のみが7月の論文試験に進むことができ、自らが書いた答案を採点者に読んでもらう機会を得ます。
そして、論文試験に合格した者のみが10月に行われる口述式試験に進むことができます。口述式試験は、受験生1人につき2名の司法試験員(著名な学者や司法研修所の教官等の実務家で構成されています。)から様々な質問がなされます。法律を理解せずに各論点のみを丸暗記していたのであれば、万が一論文試験を乗り切ったとしてもここで理解不足が露呈します。この口述式試験でも100名近い受験生が不合格となるため決して気を抜くことはできません。かつ口述式試験の母集団は、いうまでもなく全員が論文試験を合格した猛者です。

このようにして旧試験では、約半年にわたって3回行われる試験全てに合格した者のみが法曹となる資格を得ることができました。

このようなことからも分かるとおり、旧司法試験は決して「一発勝負」ではなかったのです。

そして司法試験に合格した後は、現在の制度よりも期間が長く(私たちのときは1年半でした。)、給費制の下での司法修習を受けることができていました。またほぼ全員が法律事務所に就職することもできていましたから、オンザジョブトレーニングを受けることもできていました。
旧来の制度のもとではこのような「プロセス」を経て法曹が養成されていたのです。

仮に、旧司法試験が「一発勝負」であれば新司法試験も1回の試験の点数で合格者を選抜するのですから「一発勝負」になるはずです。むしろ、新司法試験は短答式試験と論文式試験を同時に実施し、かつ口述式試験もなくなったのですから、より「一発勝負」の色彩が増しているとさえいえます。

「旧司法試験は一発勝負により司法試験の合否を決めるものであり良くない制度である。」というのも旧司法試験に向けられた悪意のあるレッテル貼りといわざるを得ません。

投稿者 staff : 2016年04月14日 11:19

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