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2016年03月15日

日本弁護士連合会(日弁連)臨時総会② ~3号議案~

弁護士の富田です。

3月11日の日弁連の臨時総会での結論についてはすでにこのブログでお伝えしましたが、今日のブログでは当日に1号議案の修正案として出された3号議案のことについて述べようと思います。

3号議案の内容はおおむね以下のとおりです。
①1年間の司法試験合格者数を1500名「以上」とし、現在の年間1800名の水準を急激に減少させないこと。
②法科大学院制度について奨学金をより充実させ、予備試験については「制度趣旨を踏まえた運用」を行うこと。
③司法修習生に対する給費制を復活すること。

この3号議案は、主として法科大学院で教鞭をとっている弁護士や法科大学院を卒業した弁護士で提案されたものです。この3号議案と1号議案の最大の違いは、1年間の司法試験合格者数の「1500名」というのはあくまでも「下限」であり、最大1800名程度まで合格させる余地を残すというものです。

3号議案の提案理由やそれに賛同する意見の中で繰り返されていたのは、「法曹志望者数をこれ以上減少させないために」というフレーズでした。要約すると「司法試験合格者数を減少させて司法試験を難しくすれば法曹を目指す方が躊躇して法曹志望者数が減少してしまう。だから急激に司法試験合格者数を減少させてはならないのだ。」というところでしょうか。

しかし本当にそうでしょうか?

実は司法試験の競争が今よりも激しかった旧司法試験時代(合格率は2パーセントから3パーセントの間でした。つまり100人受験して3人も合格しないという試験だったのです。)の方が志願者数は多かったのです。

私が初めて司法試験を受験した大学3回生のとき(平成10年)には、司法試験出願者数は3万人を超えました。そこから出願者数は年々増え続け、私が合格した平成15年にはついに5万人を超えました(因みにここ数年の司法試験出願者数は1万人を割り込んでおり、私が合格した年の5分の1以下の出願者数になっています。)。

このことから見ても「試験が難しければ志願者数が減少する。」という論理が明らかな誤りであり、むしろ逆であることが分かると思います。

後輩である司法試験受験生のことを思うのであれば、むしろ合格者数を抑制し、全員が就職できてオンザジョブトレーニングを受けられる環境を整えることこそ重要だと思います。

3号議案の提案理由やそれに賛同する意見を聞いていて一番感じたのはこの前提が抜け落ちているのではないかということでした。

なお、この3号議案は反対多数で否決されました(私も反対票を投じた一人です。)。

投稿者 staff : 2016年03月15日 10:43

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